今回はこの質問に答えます。
「発達障害や精神疾患(うつ病など)のチェックリストをやってみたら当てはまるものが多いのですが、病院に行くべきでしょうか?」
「チェックリストが10個当てはまったのですが、精神疾患でしょうか?」
こちら、複数名の方から同じようなご質問をいただいておりましたので、多くの方がご不安を感じている内容なのだろうと思いました。
たしかに、セルフチェックをしてみて当てはまるものが多かった場合、そうなのではないかと思って心配になることと思います。
ちきんの回答できる範囲でお答えしていきますね。
- 発達障害、精神疾患のチェックリストに当てはまったとしても、診断はできない。診断を下せるのは医師のみ。
- チェックリストに当てはまったとしても、必ずしも受診しなければいけないわけではない。日々の生活に大きく支障が出るようであれば、迷わず受診しましょう。
- 症状が身体に出る場合は、心療内科、心に出る場合は精神科、ただし厳密にわけなくてもどちらでも診てもらえます。
チェックリストが当てはまったとしても必ずしも病院へ行く必要はない
単刀直入に申し上げますと、セルフチェックに当てはまっても障害や疾患であると断定することはできません。
チェックリストはあくまでも参考でしかなく、正しい診断にはなりません。
もちろん、チェックリストが全く使えないというわけではなく、発達障害かもしれない・精神疾患かもしれない目安にはなりますので、参考程度にご活用いただく分には問題ございません。
ただ、発達障害も精神疾患も最終的に診断を下せるのは医師のみとなります。
一般の方はもちろん、看護師や社会福祉士、臨床心理士であっても診断をすることはできません。
そのため、もし診断が必要である場合や自分の困りの要因を明らかにしたい場合には精神科か心療内科に行かれると良いでしょう。
一方で、今現在特に生活に支障がないが、なんとなく気になるから行ってみようとなると自分自身でもなぜ行ったのかわからなくなる場合があります。
基本日常生活に支障がなく、気分も安定している場合にはチェックリストに当てはまったとしても無理していく必要はないだろうと個人的には思います。
受診先は心療内科か精神科
発達障害や精神疾患の診断をもらうためには心療内科か精神科になります。心療内科と精神科に大きな違いはないので、通いやすい方に行かれるといいかと思いますが、細かくは以下のような違いがあります。
心療内科の場合はこういう人
心の病気によって「身体」に現れる病気を治療する場合には心療内科と言われています。いわゆる、ストレスによって身体症状が出る心身症が主な対象となります。
頭痛や腹痛があり内科を受診したが、異常なしと言われた、あるいは、何らかのストレスで身体的な症状が出ている自覚がある場合などは心療内科に受診すると良いでしょう。
精神科の人はこういう人
心の病気によって「メンタル面」に症状が出ている場合には病気を治療する場合には精神科と言われています。
ストレスによって気分の落ち込みが顕著になった、幻覚や妄想がみられる場合などです。気持ちの面での不調が主に出ている場合には精神科に受診すると良いでしょう。
病院へ行くメリットは?
診断が下り、うまくいかない原因が分かる
診断がない状態だと、「人とうまくできないのは自分がうまくできないからだ」「仕事でミスばかりする自分はだめだ」などと思い、ご自身を責め、自己肯定感の低下につながることがあります。
一方で、診断をもらうと生きづらさの理由が分かり、「自分が悪いのではなく、この病気が邪魔をしていた」ことが分かります。
また、うまくいかない要因がわかると障害や疾患に合った対処や治療につながれるというメリットもあります。
様々な福祉サービスを得られる
診断をもらった場合、様々な福祉サービスを得ることができます。例としては以下の通りです。
・自立支援医療制度(精神通院医療制度):精神疾患や発達障害を持っている人が医療費の自己負担額を軽減する制度です。場合によっては自己負担額を1割にすることもできます。
・障害者手帳:疾患の種類や程度に応じて様々な福祉サービスを受けることができます。例えば税金の控除、公共交通機関の運賃の割引などがあります。
・障害年金:障害や疾患を理由に生活や仕事に支障が出たときに支給される年金を受給することができます。働いていた場合でも、通常通りに働くことが難しいと判断された場合には、生活の一部を支援する額が支給されたりします。
・生活保護:障害や疾患により働くことが難しく、収入が不十分が生活が困難となった場合に生活費を保障する制度のことです。
ただし、障害や疾患によっては上記のような福祉サービスを得ることができない場合もありますので、精神保健福祉センターなどでご確認ください。
診断を受けると困ることは?
一部の保険や住宅ローンの審査が下りない
診断をもらうことで、保険や住宅ローンの審査などが下りない可能性があります。
診断をもらっていると、安定して支払いができるのかどうかを懸念され、加入したい保険や住みたい住居に住めない場合があります。
ただし、すべての保険や住宅ローンの審査が下りないわけではありません。
発達障害、精神疾患の診断がある場合でも、下りる保険(ぜんち共済など)はあります。
審査には、精神科への通院歴などがみられるため、もし保険や住宅ローンなどの審査が気になる場合は、診察を受ける前に、申し込みをしたほうがよいでしょう。
最後に
ということでまとめです。
- 発達障害、精神疾患のチェックリストに当てはまったとしても、診断はできない。診断を下せるのは医師のみ。
- チェックリストに当てはまったとしても、必ずしも受診しなければいけないわけではない。日々の生活に大きく支障が出るようであれば、迷わず受診しましょう。
- 症状が身体に出る場合は、心療内科、心に出る場合は精神科、ただし厳密にわけなくてもどちらでも診てもらえます。